経営者・平清盛の失敗 会計士が書いた歴史と経済の教科書
「通貨」が平家を滅ぼした!
日本の歴史上、最大の経済ミステリー「平家滅亡」を解き明かす。
ミリオンセラー「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」の著者が、平家滅亡と通貨政策の因果関係を説く。
「現代ビジネス」「夕刊フジ」の人気連載、待望の書籍化。
**
歴史の一般書というより歴史の謎解き、ミステリーをひも解くといった性格のものであるがこれは面白かった。
結果的に言うと経済施策の失敗の為に平氏は滅亡に向かったという推察である。
平清盛の「経済」というテーマであるだけに、一番取り上げられる事の多い日宋貿易が主な話になっている。
内容は日宋貿易の真相、その主力輸入品であった宋銭の話。
そこから清盛は国家や一族繁栄、政治の主導権の保持の為に宋銭を利用した重商主義へとシフトしようとしていたのではないかと著者は続ける。
所謂源平合戦が始まった頃は、平氏が多くの荘園を抱えていた西日本で大飢饉が起った時でもある。
この飢饉がハイパーインフレに繋がり、宋銭を「貨幣」して普及させ、重農から重商へとシフト、貨幣で財をなした平氏一門を直撃。
これが平氏が滅亡に向かった一因ではないか。
…という話。
読んでいて思ったのだが、これは結構説得力がある…
公家化し、驕る平氏に武士そのままの源氏が云々という定説から始まり、そういう空気で、というか…
近世か近代ならまだしも、平安時代当時の経済に視点からというのはかなり新鮮で面白かったし、いつの時代も経済抜きでは語られない事がある筈である。
平氏の経済力の中心は荘園からの上がりではと思っていただけに、本書にはなるほどと思う処も沢山あった。
日宋貿易の真相については山内晋次氏等が唱えている事と同じであったため特に真新しい話もなかった。
しかし宋銭の、貨幣としてよりその素材、つまり銅がそのものが経筒を初めとする仏具の材料として必要とされたため大量に輸入されたのではないかという話はなるほどと思う。
その材料を貨幣へと価値を高めたのが清盛であると。
話はかなり面白い。
ただ、個人的にはもう少し史料があがっていれば、うーん?と思うような所も、もっと説得力があるのではないかな、と思う。
ちょっと惜しい。
一般書それも半分ビジネス書のような本であるので仕方ないと言えば仕方ない。
本書の最後には参考文献が随分上がっているので、それだけでも結構役に立つ。
**
【History 近代の最新記事】


